石川県自然解説員研究会

白山のブナ

ここでは白山のブナについて考えます。

 

ブナ林がなぜ重要なのか、それは広大なブナの原生林が分布する 「白神山地」が世界自然遺産に指定されたことでも、お察しいた だけると思います。

 

ブナ林を糧とする、生物の多様性が大きな特徴といえます。土壌 生物から、昆虫、野鳥やサル、クマなどの哺乳動物までさまざま な生物が生息していますし、落葉は厚い土壌をつくり、高い保水 能力を保ち、また土壌の酸性化を防いでいるといわれています。

 

白山山系から流れる、手取川、九頭竜川、長良川、庄川などの河 川は4県にわたる平野を潤し、また、河川から流れ出る周辺の海 洋生物にも色んな形で影響を与えていると考えられます。

このよ うに白山の水は、陸海共に私たちの生活を支えているといえまし ょう。

 

こうした大量の水を供給する白山山系のブナ林は、標高700m位 から1500m位にかけて分布し、西日本最大級といわれています。

 

県内のブナの分布では、金沢の北方津幡町「三国山」の、標高約 240mのところにもブナ林が存在し、石川県指定文化財の天然記 念物となっています。

 

能登半島では鉢伏山や宝立山など標高400mから500mでもブナ林 が存在します。

 

もともと縄文早期と晩期には比較的寒冷な時期があり、 そのころには、ブナ林は県内の低山にも広く分布していたようで、 現在のブナ帯が全体に500m程下がっていたものと考えられます。

 

こうした低山のブナ林は、言わば縄文時代の生き残りといったと ころでしょうか。   

 

写真は幹回り2mを超える白山のブナ   (別当出合にて2003.5.2撮影)